CHIME年代測定に使う鉱物

HOME > 研究内容 > CHIME年代測定法 > CHIME年代測定に使う鉱物

測定に適した鉱物

CHIME法ではウラン・トリウム・鉛の含有量から年代を求めますので,これらの元素が「それなりに」入っている鉱物であることが重要です.水晶のように二酸化硅素(SiO2)のみからなる鉱物や,コハクのような有機物の年代を測定することはできません.以下にこれまでの研究で測定実績のある各鉱物について簡単に紹介します.

ジルコン(zircon)

花崗岩などの岩石に広く含まれる,重たい鉱物です.元素ジルコニウムはこの鉱物から発見されたため,その名がつきました.ジルコンという鉱物の名前はアラビア語の「zargun」が語源で,「金色」という意味ですが,実際には褐色の結晶が多いようです.ヒアシンスと呼ばれる宝石になるものもあります.
理想式ZrSiO4,比重3.9-4.7.

モナズ石(monazite)

純粋なものではリン酸セリウムを主成分とする,重たい鉱物です.風化に強いため,もとの岩石が風化しても分解されることはありません.トロン温泉の元として使われるほか,軽希土類元素の鉱石としても利用されています.モナザイトとも呼ばれています.
理想式CePO4,比重4.6-5.4.

ゼノタイム(xenotime)

モナズ石とよく似た鉱物で,同じ岩石中に両方が出ることもあります.化学式もよく似ていますが,結晶構造を詳しく見るとモナズ石よりも前述のジルコンに近い構造をしているようです.
理想式YPO4,比重4.4-5.1.

褐簾石(allanite)

19世紀にスコットランドの鉱物学者 Thomas Allan によって初めて記載され,英語名は彼の名前に因んだものになっています.10~20%程度希土類元素を含み,弱い放射能を持っています.このため結晶構造が破壊されているものも少なくありません.
理想式(Ce,Y,Ca)2(Fe2+,Fe3+)Al2(SiO4)(Si2O7)(ただしCe型),比重3.4-4.2.

ポリクレース(polycrase)

あまりにたくさんの元素が入っているのでこの名がついた,という鉱物です.同じような構造を持つ鉱物にユークセン石(euxenite)という鉱物があり,これもCHIME年代を測定することが可能な鉱物の一つです.どちらもまだ完全に解明されていない鉱物でもあります.
理想式(Y,Ca,Ce,U,Th)(Ti,Nb,Ta)2O6,比重5.0-5.9.

ページトップへ▲