天然の放射性同位体

 放射性同位体は,半減期の10倍の時間が経過すると約1000分の1に,20倍の時間が経過すると約100万分の1に減少してしまいますが,半減期が5730年の14Cが現在でも自然界で検出できるのは,この同位体が放射壊変して減少する一方で,常に大気中でつくられ続けているからです。
 宇宙から地球に飛び込んでくる宇宙線が大気に当たると,原子核をバラバラにするような激しい反応が起こります。ここで生じた中性子が大気の主成分である窒素(14N)と反応すると,14Nは陽子を放出して14Cに変わります。14Cは二酸化炭素(炭酸ガス)になって大気中に留まり,半減期5730年のベータ壊変によって14Nになります。この14Cの生成と壊変がつり合って,大気中の14C濃度は一定になっています。



 14Cと同じように宇宙線でつくられた地球上の放射性同位体には,3H(半減期12.3年),10Be(半減期150万年),26Al(半減期70.5万年)などがあります。これに対して,ウラン(235Uと238U)・トリチウム(232Th)・カリウム(40K)・ルビジウム(87Rb)など半減期が7億年以上の放射性同位体は,現在の太陽系(地球)ができる前に超新星爆発の元素合成によってつくられたものです。

 放射能と聞くと,つい身構えてしまいますが,天然には様々な放射能を持った物質が存在します。放射性の40Kはカリウム全体の0.0117%しか存在しませんが,体重60kgの人の体内では毎秒約3000個の40Kが放射壊変をしている計算になります。生物の躰を作る炭素にも放射性の14Cがあります。その存在割合は1兆分の1ですが,人間の体全体では膨大な数になります。岩石や土壌あるいは建物のコンクリートからも微弱な放射線が出ています。
 下の図は,岩石の小片から出てくるガンマ線を高感度の検出器で測定したものです。岩石中の40Kが電子捕獲によって40Arに壊変するときに放射される1460.8keVのガンマ線,陽電子と電子の対が消滅して放出される511.1keVの陽電子消滅放射線が認められます。また、岩石中に数〜数十ppm(百万分の1)存在するウランやトリウムが,複雑な放射壊変系列を経て,安定な鉛(Pb)に変わっていくときに放射されるガンマ線も検出されていることが分かります。



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放射性同位体放射性同位体の半減期と年代測定法|天然の放射性同位体


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