JCXA-733のイメージ系の改造

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改造のきっかけ

米国ポラロイド社は2008年3月ですべてのインスタントフィルムの出荷を終えてしまいました.

名古屋大学宇宙地球環境研究所年代測定研究部が保有する日本電子株式会社製JCXA-733では,イメージ(反射電子や二次電子など)の撮影に,ポラロイド社のインスタントフィルムを使用していました.

インスタントフィルムの販売停止により,CHIME年代測定等の分析に著しい支障が生じたため,JCXA-733を改造することにしました.

改造方法

Scan Generator, Display, CSI及びCRT HVを廃止し,年代測定総合研究センターにおいて開発したディジタルシステムを組み込むことにしました.新しいシステムでは,スキャンした画像をTIFF形式で保存することが可能になっています.組み込み用マイコン,FPGA及びCPLDを用いており,将来の機能追加にも柔軟に対応できるように設計しました.

さらに,新たなシステムのスキャンジェネレータ部(FPGAやマイコンにより12ビットDACを制御)の出力は,もともとのScan Generatorユニットの出力よりも低ノイズ化がはかられています.

また,画像信号はADCにより取り込むため,従来のCRTを用いた撮影システムよりもシャープな画像が得られるようになりました(CSIはCRTを用いています).

新しい画像システムの改造により省電力化されました.ディジタル化したシステムの消費電力は8Wです(制御用ワークステーションを除く).

FreeBSDを用いたワークステーションで制御します.スキャン速度や倍率も含めて,ゲームパッドで操作します.キーボードからのコマンド入力は必要ありません.ワークステーションとディジタルシステムはイーサネットで通信を行います.スキャンした画像も,イーサネット経由で組み込み用マイコンからワークステーションに転送されます.ワークステーションでは,WebDAVファイルサーバーが稼働しているので,他のパソコンからネットワーク経由で画像を取り出すことも可能です.

コスト

部品代でおよそ30万円くらいです.数が少ないので,プリント配線板の製造コストが高いです. もっとも,開発環境を整えるのにかかった費用のほうが高かったです.

改造後の姿

ディスプレーは液晶に置き換わっています.CSIがなくなりアルミ板の蓋がかぶせられています.SGユニットからボタン類がなくなりました.制御用ワークステーションに接続されたゲームパッドで操作します.

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